近年、新NISAのスタートや米国株ブームの影響もあり、米国ハイテク株に集中投資する「FANG+」関連商品に注目が集まっています。特に、AppleやAmazon、NVIDIAといった世界を代表する企業に投資できる点は非常に魅力的です。
一方で、長期的に「安定」を重視するなら、私は全世界株式インデックス、いわゆる「オルカン」の方が合理的な選択だと考えています。
ここでいうオルカンとは、代表的な商品である
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
のような、世界中の株式市場に幅広く分散投資するインデックスファンドを指します。
本記事では、FANG+よりもオルカンの方が安定しやすい理由を、リスク分散・経済構造・長期投資戦略の観点から詳しく解説していきます。
FANG+とは何か?
FANG+とは、米国の大型ハイテク企業10社で構成される株価指数「NYSE FANG+ Index」に連動する投資商品です。
代表的な銘柄には、
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Apple
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Amazon
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NVIDIA
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Meta Platforms
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Alphabet
などが含まれます。
どれも世界経済を牽引する超一流企業であり、過去10年以上にわたり驚異的な成長を遂げてきました。短期間で大きなリターンを狙える可能性がある点が魅力です。
しかし、ここに「安定」という観点を加えると、話は少し変わってきます。
理由① 銘柄数の違い=分散力の差
FANG+は約10銘柄に集中投資します。一方、オルカンは約3,000銘柄以上に投資します。
この差は決定的です。
投資の基本は「分散」です。特定の企業が不調になっても、他の企業が補うことで全体の値動きを滑らかにすることができます。
例えば、ITバブル崩壊時やリーマンショック時、特定セクターへの集中投資は大きな打撃を受けました。仮にFANG+構成銘柄の一部が規制強化や業績悪化で大きく下落した場合、その影響は指数全体に直撃します。
一方、オルカンはITだけでなく、
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金融
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ヘルスケア
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エネルギー
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生活必需品
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新興国企業
など多様な業種・地域をカバーしています。
一部が不調でも、他がカバーする。
この構造こそが「安定性」を生み出します。
理由② 地域分散の圧倒的な違い
FANG+は実質的に米国一点集中です。
確かに、米国は世界最大の経済大国であり、優れた企業が多いのは事実です。しかし、未来永劫アメリカが覇権を維持する保証はありません。
歴史を振り返れば、
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19世紀はイギリス
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20世紀前半はヨーロッパ
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戦後はアメリカ
と経済の中心は移り変わってきました。
オルカンは、
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アメリカ
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ヨーロッパ
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日本
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新興国(インド・東南アジアなど)
と、世界全体に分散投資します。
もし将来、アメリカ以外の地域が大きく成長した場合でも、オルカンはその成長を取り込めます。これは長期投資において非常に重要なポイントです。
理由③ セクター集中リスク
FANG+はハイテク企業中心の指数です。つまり、景気や金利動向に大きく左右されます。
特に金利上昇局面では、成長株は割高と判断されやすく、大きく売られる傾向があります。
実際に、2022年の金利急上昇局面ではハイテク株が大きく下落しました。
もしポートフォリオの大半をFANG+で構成していた場合、精神的な負担は相当なものだったはずです。
オルカンであれば、
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金利上昇で金融株が上昇
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景気回復で素材・エネルギー株が上昇
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不況時に生活必需品が底堅い
というように、経済環境の変化に対する「クッション」が働きます。
安定とは、値動きが常に小さいことではなく、極端なリスクを避けられる構造を持っていることなのです。
理由④ 長期投資との相性
長期投資の本質は「未来を予測しない」ことです。
どの企業が10年後もトップにいるかは誰にも分かりません。
かつて世界を席巻していた企業が没落した例は数えきれません。
オルカンは市場全体に投資するため、「勝者を予測する必要がない」という大きなメリットがあります。
市場全体が成長すれば、その恩恵をそのまま受け取れる。
これは極めてシンプルで強力な戦略です。
理由⑤ 精神的安定という最大のメリット
投資で最も重要なのは、実は「継続できること」です。
値動きが激しいと、
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暴落時に売ってしまう
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高騰時に焦って買い増す
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感情に左右される
といった行動を取りやすくなります。
FANG+はボラティリティ(価格変動)が高く、大きなリターンの裏には大きな下落リスクがあります。
一方、オルカンは比較的値動きが穏やかです。
「何が起きても持ち続けられる」という安心感は、長期投資において非常に大きな価値を持ちます。
投資はリターンの最大化だけでなく、リスクの最適化でもあります。
安定した資産形成を目指すなら、暴れ馬よりも堅実なインデックスの方が適しているのです。
それでもFANG+を選ぶ人へ
もちろん、FANG+を否定するつもりはありません。
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リスクを取って高いリターンを狙いたい
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ポートフォリオの一部としてスパイス的に組み入れる
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値動きを楽しみたい
こうした目的であれば、有効な選択肢です。
しかし、資産形成の「土台」として考えるなら、オルカンの方が合理的です。
まとめ:安定を求めるなら世界全体を買う
FANG+は魅力的です。
過去の実績も華々しく、成長性も抜群です。
しかし、
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銘柄集中
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米国集中
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セクター集中
という三重の集中リスクを抱えています。
一方、オルカンは
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銘柄分散
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地域分散
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業種分散
という三重の分散構造を持っています。
長期的に安定した資産形成を目指すなら、「特定の勝者に賭ける」のではなく、「世界経済全体の成長に乗る」方が再現性は高いのです。
未来を当てにいく投資か、未来全体を買う投資か。
もしあなたが「安定」を重視するのであれば、オルカンという選択は非常に合理的な答えになるでしょう。
そして何より、投資は続けることがすべてです。
安心して持ち続けられる商品こそが、長期的に見れば最大のリターンを生む可能性が高いのです。

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