― 安定資産として再評価される「金(ゴールド)」の本質 ―
ここ最近、ニュースや新聞、経済番組などで「金(ゴールド)の価格が過去最高値を更新」という見出しを目にする機会が急激に増えています。
金は古くから「安全資産」「安定資産」として知られてきましたが、なぜ今、これほどまでに注目され、価格が高騰しているのでしょうか。
本記事では、最近の金価格高騰の背景とともに、安定資産としての金の役割について、新聞報道や市場データを参考にしながら、図表を交えて詳しく解説していきます。
1.ここ最近の金価格の動向
まずは、金価格がどのように推移してきたのかを確認してみましょう。
【図表①】金価格の長期推移(国際価格・USD/oz)
| 年 | 金価格の水準(目安) | 主な出来事 |
|---|---|---|
| 2022年 | 約1,800ドル | 世界的インフレ加速 |
| 2023年 | 約2,000ドル | 金利上昇と景気減速懸念 |
| 2024年 | 約2,400ドル | 地政学リスク拡大 |
| 2025年 | 約3,400ドル | 中央銀行の大量購入 |
| 2026年 | 4,500ドル超 | 安全資産需要の急増 |
※数値は代表的な市場水準を基にした概算
この表からも分かる通り、金価格は数年単位で見ても右肩上がりの傾向が続いています。特に2024年以降は上昇スピードが加速し、短期間で大きく水準を切り上げました。
2.金価格が高騰している主な理由
① 世界経済の不透明感と不安定さ
金価格高騰の最大の要因は、世界経済の先行きが極めて不透明になっていることです。
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高止まりするインフレ
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各国の金融引き締め・緩和の転換点
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景気後退(リセッション)懸念
こうした状況下では、株式や不動産、暗号資産などのリスク資産が大きく変動します。その結果、多くの投資家が「価値がゼロにならない資産」を求め、金へと資金を移しているのです。
新聞各紙でも、「経済の先行き不透明感が金価格を押し上げている」と繰り返し指摘されています。
② 地政学リスクの高まり
次に見逃せないのが、地政学リスクの拡大です。
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ウクライナ情勢の長期化
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中東地域の緊張
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米中関係の不安定化
戦争や紛争、国際関係の悪化は、金融市場にとって大きな不安材料です。こうした局面では、国家や通貨の信用に左右されにくい「金」が選ばれやすくなります。
金はどの国の通貨でもなく、どの政府の政策にも直接依存しない資産であるため、非常時の「逃避先」として機能しやすいのです。
3.金融政策と為替が与える影響
① 米ドルと金の関係
金は国際的に「米ドル建て」で取引されています。そのため、ドルの価値が下がると、相対的に金価格は上昇しやすいという特徴があります。
【図表②】ドル安と金価格の関係(イメージ)
近年は、米国の金融政策転換や財政赤字拡大を背景に、ドルの信認が揺らぐ場面もありました。これが金価格を押し上げる一因となっています。
② 金利と金価格の関係
金は利息や配当を生まない資産です。しかし、金利が低下する局面では、その弱点が目立たなくなるという性質があります。
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高金利 → 預金や債券が有利
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低金利 → 金の相対的魅力が上昇
利下げ観測が強まると、金への資金流入が加速しやすくなります。
4.中央銀行が金を買い続ける理由
近年の金市場で特に注目されているのが、中央銀行による金の大量購入です。
【図表③】中央銀行の金保有増加(イメージ)
| 主体 | 目的 |
|---|---|
| 新興国中央銀行 | 外貨準備の分散 |
| 欧州各国 | 通貨価値の安定 |
| 新興経済国 | ドル依存の低減 |
中央銀行が金を買い増すということは、
「国家レベルで金を安全資産と認めている」
という強いメッセージでもあります。
この動きは短期的な価格変動ではなく、長期的な金価格の下支え要因となっています。
5.安定資産としての金の本当の価値
① 金は「増やす」より「守る」資産
金は株式のように配当を生み、不動産のように家賃収入を生む資産ではありません。
しかしその代わりに、価値を失いにくいという強みを持っています。
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国家が破綻しても価値がゼロにならない
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インフレで通貨価値が下がっても価値を保ちやすい
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長い歴史の中で「価値の保存手段」として機能してきた
金は「資産を増やすための主役」ではなく、
資産を守るための土台と考えると理解しやすいでしょう。
② 分散投資における金の役割
【図表④】資産配分イメージ
金をポートフォリオに組み込むことで、
市場が大きく荒れた際のクッション役を果たします。
6.金価格高騰の注意点
もちろん、金は万能ではありません。
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短期的には価格が急落することもある
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高値掴みのリスク
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為替の影響を強く受ける
特に最近のように価格が急騰している局面では、「今から買っても大丈夫か?」と慎重に考える必要があります。
7.今後の金価格はどうなるのか
多くの金融機関は、
「世界の不透明感が続く限り、金の需要は底堅い」
と分析しています。
一方で、金利上昇や株式市場の回復が進めば、調整局面を迎える可能性も否定できません。
つまり今後の金は、
「上がり続ける資産」ではなく、「価値を保ち続ける資産」
として向き合うことが重要です。
まとめ:なぜ今、金が再び選ばれているのか
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世界経済と政治の不安定化
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通貨価値への不信感
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中央銀行による積極的な金購入
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安定資産としての歴史的信頼
これらが重なり合い、金は再び脚光を浴びています。
金は派手さはありませんが、
「何かが起きたときに支えてくれる資産」
として、これからも重要な役割を果たし続けるでしょう。

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